コダーイメソッドとは何か？《連載第一回》

I.コダーイメソッドとは何か？

　皆さん、こんにちは。今回は、《コダーイメソッドとは何か？》ということをテーマに少しお話をさせていただこうと思います。

　コダーイの名前は日本でもけっこう有名ですよね。特に音楽教育や合唱に興味のある方でしたら、ハンガリーからたびたび来日する合唱団の素晴らしい歌声を聞いて、この《コダーイシステム（ないしは、コダーイメソッドとも呼ばれる）》について関心を持っている方は随分多いだろうと思うのです。

　ところが、にも関わらず、実際にその具体的なやり方について知っているという方が意外にも少ない、というのはとても残念であり、また大変もったいないことだと思います。

　日本にもコダーイメソッドについて解説した素晴らしい書物があります。例えば、羽仁協子先生の書かれた「コダーイシステムによる音楽指導の実際」という本がその一つです。

　そこで今日はまず、そのご著書の中の文章を切り口にして《コダーイメソッドとは何か？》ということについて皆さんとご一緒にあらためて考え直して行ってみたいと思っています。

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　さて、そのご本の冒頭は次のような文章で始まります。

コダーイシステムとは, ある意味で, “仮の名前” にすぎない。コダーイが私たちに明らかにしたことは,
↓
すべての人が, みずからの民族の音楽的伝統によって音楽する道を歩むとき, その音楽はその人の血となり, 肉となって, 本来すぐれた音楽というものが人間の人格形成に果たす偉大な役割を真に機能させることができるだろう、

ということである。

いかがでしょう？一読してこの文章の意味が理解できた！‥という方？いらっしゃいますか？多分いらっしゃらないでしょう。（笑）とても難しい書き方をされていますよね。実は、私自身もこの文章の意味がわかるのに30年くらいかかりました。（笑）

　まずこの本は、コダーイメソッドの解説書であるはずなのに、初っぱなから「コダーイシステム（メソッド）などというものは実は無い」と言っているのです。面食らってしまいますよね。でも、ここに書かれていることを理解するのはとても大切です。コダーイメソッドの根幹に関わるようなとても重要な事柄が書かれているからです。　

👉（第二回につづく）