コダーイメソッドとは何か?《連載第三回》

 前回お話ししたようなコダーイの基本的な考え方(理想)は、具体的にどのようにして実現して行ったらいいのでしょうか?

【A】すぐれた音楽は人間の人格形成に偉大な役割を果たす。 
【B】私達は、その音楽の力がすべての人に十分に機能するよう努めなければならない。 
【C】そのためには、自分達の国(民族)伝統音楽で音楽教育を始めることが大切になる。

 このことを説明する一番手っ取り早い方法は、やはり、まず実際のハンガリーでどのようなことが実践されているのか?ということを見ていくことでしょう。

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 ハンガリーではコダーイの考えに基づいて、保育園から大学まで、基本的にはすべて同じ原則に則った音楽教育が行われています。

 まず、保育園で最初に教えられるのは、やはり自国の伝承音楽=すなわち、わらべうたです。

 ハンガリーでは、3才が入園の時期になっているようなのですが、はじめのうちは、まず保育士が生活の色々な場面でたくさんのわらべうたを歌って聞かせてあげます。ときには動きもつけながら‥しかし美しく‥楽しい雰囲気を醸し出すことも忘れずに‥。そのうち子ども達の中にも先生と一緒に歌ったり、自由遊びの中で一人で自発的に歌い出す子も出てきます。

 4、5才になると、毎日一回は集団でわらべうたを遊ぶ時間も作ります。保育士は子ども達が集団の遊びに没頭できるよう配慮しつつも、その中で一人ひとりの声にもよく耳を傾け、より美しく音楽的に歌えるよう自然な方向づけをしていきます。週に1〜2度、リズム感や音感を養うため、遊びの後や途中にちょっとした音楽的遊びも取り入れて子ども達の音楽的能力の発達を促す時間も作ります。

 その《音楽的遊び》には一体どのようなことがあるのでしょうか?ここでいくつか例を上げておくことにしましょう。

【清潔な歌い方や聴感を育てる】
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・先生がハミングで歌ったメロディーを聞いて何の歌かを当てる。(→歌当て遊び)
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・先生が歌った歌の続きを子どもだけで歌う。(→歌い継ぎ遊び)
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・先生が歌ったわらべうたの一部や即興メロディーを聞いて同じように歌い返す。(→歌い返し遊び)
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・先生の合図があったところから歌を声を出さずに心の中で歌う。
(→サイレントシンギング)
【拍感・リズム感を養う】‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
・色々な拍の仕草をしながら歌う。
(→拍打ち遊び)
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・先生の叩いたリズムを聞いて何の歌かを当てる。(→リズムからの歌当て遊び)
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・歌のリズムだけを叩く。(→リズム打ち)
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・先生が叩くリズムを聞いて同じリズムを叩き返す。(→叩き返し遊び)

 このような〝あそび〟を毎回少しずつ取り入れてゆくことによって、子ども達は知らず知らずのうちに音楽的能力を高めてゆきます。そして、それは音楽を情緒的な面からばかりでなく、知的・客観的に捉えることの楽しさに気づいていく、ということにも繋がります。

 

 このような経験を経た子ども達は、小学校に上がるとさらに多様な音楽体験を積んでゆくことになります。

 

  👉(第四回につづく)

 

 

2 comments on “コダーイメソッドとは何か?《連載第三回》Add yours →

  1. ちょっと遅くなりましたが、木になりましたのでコメントさせていただきます。

    >週に1〜2度、集団でわらべうたを遊ぶ時間も作ります。
    わらべうたで遊ぶことは、毎日です。
    この週1~2度(一応週2回、1回は30~45分と定められています)というのは、音楽課業の時間です。この時間に、毎日十分に遊んだものをねらいに従いピックアップし、意識化させます。
    これは音楽だけではなく、数の観念を意識化する課業や、図工の課業もあります。

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