〜《ソルミゼーションの導入》〜
ここまでで、ソルミゼーションで歌うことの大切さやその利点については、皆さんにも十分わかっていただけたことと思います。
‥では、どのようにして、そのソルミゼーションの力(➡︎音の機能を感じる能力)を子ども達に身に付けさせていったらよいのでしょうか?
‥‥‥
実はここでもやはり《生きた音楽から学ぶ》という原則が生きてきます。
つまり、子ども達が既によく知っているわらべうたの中にこのソルミゼーションの要素はないか?ということを探し出し➡︎少しずつその読み方に慣れさせ➡︎そしてその音の機能を一つひとつ身体に染み込ませてゆくようにすればよい‥ということになります。
‥‥‥
‥ところが‥
ここで‥一つ、ちょっと困った問題が持ち上がります。
それは、現在ハンガリーで行われているソルミゼーションの導入システムを、そのまま日本では使うことができない!‥という問題です。
‥‥‥
取り敢えずハンガリーのやり方から見てみることにしましょう。
‥‥‥
●ハンガリーには 、〈so〉〈mi〉の2音だけでできたわらべうたがたくさんあります。子ども達は、その〈so〉〈mi〉だけの歌を保育園で8〜10曲習います。
(例)
┃ ┃ ┏┓ ┃ ‥
Hin- Palin
ta ta ‥
(ぎったん、ブランコ ‥)
●一年生になってからも、それらを繰り返し遊び、歌います。
●その後、それらの歌のどこが高くてどこが低いかを考えさせます。
●歌いながらメロディーラインを手の上下の動きで示させます。
●はじめは先生の真似をしてやってもいいですが、やがては自分達だけでもできるようにします。
●同じことを何曲か違う歌でもやってみれば、みんながちゃんと高い低いを聞き分けてやっているのか?それともただ誰かのマネをしているだけなのかが分かります。
●高い方が〈so〉、低い方が〈mi〉と教え、ハンドサインの形も教えます。
┃ ┃ ┏┓ ┃ ‥ so soso mi mi ‥
●ハンドサインをしながらソルミゼーションできるようになったら、黒板に書かれた縦書きの文字譜〔=モデュレーター〕や、横書きの文字譜〔=レターサイン〕を指差しながらでもできるようにしま
szo 👈 ↓ mi
┃ ┃ ┏┓ ┃ ‥ s m s s m ‥ 👆
●最後は五線譜上の音符を指差しながらでも歌えるようにします。
‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥
『な〜んだ!簡単じゃないか!こんな簡単なことなら日本でもすぐに同じようにやってみればいいじゃないか。』‥と思われた方もいることでしょう。
‥ところが‥
‥それが‥
‥ダメなのです。
なぜならば日本には、この『ソ』と『ミ』だけでできているわらべうたは、ほとんどないからです。
>なぜならば日本には、この『ソ』と『ミ』だけでできているわらべうたが、ほとんど見つからないのです。
↓
この言い方ですと、ソミで構成されている歌が正当だと誤解されてしまう恐れがあります。ハンガリーの歌と日本の歌の軸となる2音は、根本的に異なるというように持って行った方が妥当だと思います。
例えば、次のような言い方はどうでしょうか?
ハンガリーを始めヨーロッパの歌の軸となる音は、ソとミ、言い換えれば短3度の関係です。
でも、日本の歌はこの短3度が軸にはなってはいないのです。ですから、ハンガリーの方法をそのまますっぽりと日本にもってくるわけにはいきません。
伊藤先生、ありがとうございました!ちょっと衝撃的な書き方を狙ってみたのですが‥^^;
そうですね。誤解されてしまうといけませんので表現を少し修正させていただきました。
尚、日本の音楽との違いについては次回第10回で詳しくご説明させて頂く予定です。