コダーイメソッドとは何か?《連載第11回》

〜《日本のわらべうた と ソルミゼーション》②〜

‥ ‥  それでは、皆さん。

 大変恐れ入りますが、さっきの日本のわらべうたを、もう一度、今度はソルミゼーション《➡︎移動ド唱法》を使って歌ってみていただけますか?

(※どのように読むかは指定いたしません。どうぞ皆さんがそれぞれ、ご自分が感じた通りのソルミゼーションで歌ってみてください。)

(あ!‥言っておきますが、万が一、隣の人とソルミゼーションの仕方が違ってたとしても慌てて合わせたりしちゃダメですよ。そういうの‥日本人の悪いとこですからね‥(会場苦笑))

‥ではどうぞ!

はい♪

‥‥‥

┃  ┃   ┃  ┃   ┃  ┏┓   ┃  Z‥ 
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┃ Z  ┃ Z  ┃  ┏┓  ┃ Z‥ 
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┏┓ ┏┓ ┏┓ ┃  ┏┓ ┏┓ ┏┓ ┃
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‥‥‥

 ありがとうございました!

 ‥やはり!

私の思った通りでしたね。

 私の良い耳によりますと(笑)皆さんの中からは、二通りのソルミゼーションが聞こえてきました。

 一つは、『ラーソーラーソー♪』というもの、そしてもう一つは『レードーレードー♪』というものです。

‥‥‥

 今ここで、そのどちらが正しいのか?‥ということを決めようとしているわけではありません‥ので、どうかみなさん、ご心配なく!笑

 ただ、私なりに今の皆さんの歌い方について(失礼ながら‥)ちょっと分析を加えさせていただこうと思います。

‥‥‥     ↓  ‥‥‥

 ①まず『ラーソーラーソー♪』とお歌いになった方。 

 この方々は恐らくこのメロディーを次のような《短調》に感じていらっしゃるのだと思います。

┃   ┃    ┃   ┃   ┃  ┏┓  ┃ Z‥
la      la      la lala la
    so      so
👆 👆  :  :   :  ::   :
主音 Ⅶ音 主  ⅶ  主 主主 主

 短調の主音は当然〈la〉です。つまり、このメロディーは、自然短音階の主音〈la〉と第Ⅶ音〈so〉を行ったり来たりしながら、最後はキレイに主音に溶け込んでいる。‥どうですか?きっとそうお感じになっているのですよね?‥だとしたら音の機能をしっかりと捉えた素晴らしいソルミゼーションだと思います。最後はちゃんと主音で終わっているので十分な終止感もある。

‥では、

‥‥‥     ↓  ‥‥‥

 ②もう一方の『レードーレードー♪』‥の方は、どうなのでしょう?

 これでは、最後が『レ』になってしまう。‥『レ』は、短調の主音でも長調の主音でもありません。なんだか中途半端な感じがしませんか?

 しかし‥、結論から申し上げると‥、

 こちらの読み方も‥、実は〝有り〟なのです。

『数音のみで動くメロディーでは, 数種類の調性解釈が可能である。』

 〜コダーイ『333の読み方練習』の解説より〜

‥‥  ‥‥ ‥‥ ‥‥ ‥‥

 現代人の感覚から言うと、短調の〈la〉か、長調の〈do〉で終わっていないと、ちょっと〝落ち着かない〟‥という感じがあるかもしれませんね。しかし、例えば中世のヨーロッパの聖歌などには、この《レ》で終わるようなメロディーはいくらでもあるのです。

 so
    fa  
        mi          mi
              re           re———
                   do  
(San - cte     Jo-an -nes.)

※ソルミゼーションの元になったと言われる〝聖ヨハネ賛歌〟の終わりの部分。

 ですから、恐らく『レードーレードー♪』とお歌いになった方々は、昔堅気の古風な感覚をお持ちの上品な方々(?)ということになるのだと思います。(笑)

‥‥‥

‥で‥、

‥何故、このようなことを長々とお話しさせていただいたのか?と申しますと‥、

実は、‥

なんと⁈

日本のコダーイメソッドでは、こちらの〝古風な〟方のソルミゼーションを採用しているからなのです。

👉(第12回につづく)

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